・季夏は終わらず
北海道の稚内と南樺太の大泊を結ぶ鉄道連絡船(稚泊連絡船)として造られ、
第二次大戦の後は青函航路へ転属となった「宗谷丸」の船歴を追う漫画です。
【原稿ができている冒頭(第一部その1)をまず公開します】
【宗谷丸という船に関する簡単な説明】
私は「青函連絡船」というタイプの船について調べたり擬人化をしたりしていますが、
この船たちの中には最初から「青函連絡船」として走らせるために造ったわけではない、
他の航路から転属したり、借りたりしていた船もおります。
「宗谷丸」はそのうちの一隻であり、元は鉄道連絡船は鉄道連絡船でも「稚泊航路」のために
造られた船です。北緯50度以南の樺太島は、1905(明治38)年のポーツマス条約調印に伴い
日本領土となりましたが、第二次大戦の敗戦で日本の手を離れ、稚泊航路も廃止されました。
航路を失った宗谷丸は、空襲を受け船が不足していた青函航路に転属しますが、青函航路は
「貨車航送」という貨物の輸送方式を採用しており、これに対応していない宗谷丸は運用が
完全に別系統となっていました。そして、青函航路用の新造船が投入され船不足が解消されると、また別の鉄道局へ転属しました。
【だいぶ前に描き始めた漫画を数年越しに公開する理由】
この漫画のネームを書いている最中にウクライナとロシアの戦争が始まり、
執筆に全く手を付けられずに止まっていましたが、
せめてネームがまとまって存在する冒頭だけは公開しておきたいと思い、
暫定でペン入れをして原稿を作りました。
ネームの執筆を再開でき、話が完成したときは、同人誌としてまとめるつもりですが、
その前に監修を入れたいと思っています。
【執筆においての指針】
・稚泊航路の「緊急疎開」だけに着目しない
・なるべく(南)樺太の産業や特性について書く
・青函航路時代は函館市の(主に樺太からの)引揚者受け入れについて触れる